Contents
英語の語順に順応
「語順通りに理解できることが英語脳への最重要課題」
英語の語順に適応した考え方(脳)の作り⽅を説明します。英⽂を後ろから戻り訳す「クセ」から脱却し、英⽂を前から理解できるようにしていきましょう。ここでは、英語を語順のままに理解できる脳作りの⽅法を紹介します。
英語で意⾒を述べるときは結論(重要なこと)から⾔うことが⼀般的です。それは、⼀つのセンテンスを作る場合も同じで、説明から⼊る⽇本語と、結論から⼊る英語の違いは有名ですね。
英語を話すときは、常に結論を先に⾔うことを意識しましょう。そうすればセンテンスを作ることが楽に感じられるはずです。なぜなら、英語は結論を先に⾔うようにできている⾔語だからです。
コンテンツ⾳読
発音やスピードそっちのけでもいいので、とにかく書かれている内容を理解しながら音読しましょう。
方法
内容(コンテンツ)だけを意識して⾳読しましょう。
つまり、意味を理解しながら⼤きな声を出して読むことです。発⾳は全く意識しなくていいです。
効果
英⽂を⾳読しながら意味を理解するということは、英⽂を前から理解するということです。
この「コンテンツ⾳読」を繰り返すことにより、英語を語順のままに理解できる基礎を作ることができるます。
注意点
⾳読しながら意味を理解できない場合は、意味を理解できるまで何度も繰り返し⾳読しましょう。黙読で戻り訳しながら理解することは絶対に避けて下さい。使⽤する英⽂素材は、単語と⽂の構造がほぼ完璧に理解できるものを使⽤することが大切です。
トップダウン・コンテンツ・シャドーイング
トップダウン・シャドーイングは、事前に⾳読などで英⽂の内容を理解してから⾏うシャドーイングのことです。単語と⽂法の知識の⾃動化に⾼い効果があります。
また、コンテンツ・シャドーイングとは、英⽂の内容(意味)を理解しながら⾏うシャドーイングのことです。
※ 英語脳を作るために2つの事を同時に進めるという意識をもって行ってください。
方法
内容だけを意識してシャドーイングしましょう。つまり、意味を理解しながら、⾳源の1〜2語後を発⾳しながらついていきます。英⽂は⾒ず、発⾳は全く意識しなくていいです。
効果
英語を語順のままに理解できる力を強化することができます。⾳読の場合は⾃分のペースで読めますが、シャドーイングはスピードについていかなければならないので英語脳の強化につながります。
注意点
速すぎて意味を理解しながらできない場合は、⼀旦⾳読に戻ってから再度挑戦してください。使⽤する英⽂素材は、上記の⾳読で使⽤したものを使⽤することが重要です。
スラッシュ・リーディング
どうしても内容を理解しながら⾳読やシャドーイングができないという⽅は、スラッシュ・リーディングを試して下さい。英⽂を語順通りに理解することが難しい⽅向けのトレーニング法です。
方法
数語ごとの意味の切れ⽬にスラッシュを⼊れながら、戻り訳しをせずに、そのかたまり毎に意味を理解しながら読んで下さい。意味が取りづらいときは、かたまり毎に⽇本語に訳しながら読んでみるといいでしょう。最後までスラッシュを⼊れたら、再度最初から、かたまり毎に意味を理解しながら声を出して読んで下さい。
効果
意味のかたまり毎に前から順番に理解することにより、後ろから戻り訳す癖を矯正し、英語を語順のままに理解できる脳づくりの基礎を築くことができます。
注意点
単語と⽂の構造が100%理解できる英⽂素材を使⽤し、暗唱できるくらいになるまで、何度も何度も繰り返しましょう。
多読
英語を多く読む多読は、英語学習の基本の基本です。英語の語順の脳回路を作り、強化するためにも必須のことです。
尚、多読を行う中で非常に重要なことも補足として3紹介します。この点は必ず守るようにするといいでしょう。
方法
英語を英語のまま左から右に、語順通りに理解しながら読んで下さい。英⽂を前から、意味や構造の切れ⽬ごとに理解していいきます。絶対に戻り訳して理解しないことがポイントです。
効果
英語の語順の脳回路を強化するだけではなく、英語の総合⼒を強化できます。
注意点
辞書で調べなくてもストーリーが理解できて楽しそうな素材を使⽤して下さい。知らない単語や構⽂は辞書等で調べず、前後関係から意味を類推しながら読んで下さい。つまらないなら読むのをやめる勇気も必要です。
尚、多読を行う中で非常に重要なことが3つあります。この点は必ず守るようにするといいでしょう。
補足1 : 辞書は引かない
辞書を引くとそこで読書の流れが⽌まってしまい、せっかくの感動が冷めてしまいます。場合によっては辞書を引いている間に話の内容を忘れてしまうなんてこともありますので、辞書は引かないようにしましょう。
補足2 : わからないところが⾶ばす
多読とは、わかるところをつなげて全体を理解する技術を磨くためにあります。「⾶ばしてもわかるようなやさしい本を読む」ということが重要です。
補足3 : つまらなくなったらやめる
ある程度読んでみたものの、つまらなくなったり、まったく進まなくなった場合には、無理をして読み続けずに別の本を読んでください。
英語の⾳を身につけよう
「英語の単純化は英語脳を養う」
英語の音を無意識かつ正確に発⾳できるような方法の詳細を説明します。
最初は、顎・唇・⾆・喉の動かし⽅を意識しながら練習しましょう。
繰り返し練習することで無意識に発⾳することができるようにします。リスニング⼒の向上にもつながり一石二鳥です。
プロソディ⾳読
プロソディとは、英語ネイティブが普段使っているような自然な発話における、音のリズム、強弱、イントネーション、アクセントなどをまとめた英語の音楽的な全要素の総称です。
方法
プロソディとはリズムやイントネーションなどのことです。プロソディ⾳読とは、その発⾳に意識を集中して、⾳源そっくりにまねて⾳読することです。リズムやイントネーションに加えて、⺟⾳や⼦⾳、リエゾン、スピードもそっくりまねて繰り返し⾳読しましょう。
効果
無意識的にネイティブ・スピーカーに理解しやすい発⾳で話せるようにするための発⾳矯正です。加えて、英語独特のリエゾンやリズムなどを体得することで、英語が聞き取りやすくなります。
注意点
単語や⽂法、意味を完璧に理解しているやさしい英⽂素材を使⽤することがポイントです。暗唱できるくらいになるまで繰り返し練習しましょう。
トップダウン・プロソディ・シャドーイング
トップダウン・シャドーイングは、事前に⾳読などで英⽂の内容を理解してから⾏うシャドーイングのことで、プロソディ・シャドーイングとは、発⾳を意識して⾏うシャドーイングのことです。
※ 英語脳を作るために2つの事を同時に進めるという意識をもって行ってください。
方法
個々の発⾳(⺟⾳・⼦⾳)・リズム・イントネーション・リエゾンとスピードを意識して、⾳源の1〜2語後を発⾳しながらついきましょう。内容は意識しなくてもよく、そっくりの発⾳で最後までついていけるまで繰り返しましょう。
効果
スピードについていくためには、個々の発⾳・リズム・イントネーテョン・リエゾンを⾳源そっくりにまねる必要があります。そのため、発⾳矯正が更に進むと同時に、意識しなくても正確に発⾳できるようになります。
注意点
速さについていけない場合は、リズムに乗っていない場合が多く、強く発⾳するところと、弱く発⾳するところのメリハリをつけましょう。弱く発⾳するところはリエゾンが起こりやすいです。使⽤する素材は、上記の⾳読で使⽤したものを使⽤することがポイントです。
多聴
多読に加えて、英語を多く聴く「多聴」も英語学習の基本です。多くを聴き、それをまねることで英語の⾳を会得していきます。
方法
事前に英⽂は⾒ないでください。ストーリーが追える限り⾳源は⽌めずに聞き続けましょう。⼀通り聞いて80%程度以上理解できない場合はレベルを下げることが重要です。理解できないところは何度か聞いてみて、⾃分でも発⾳しましょう。
効果
英語特有の発⾳・⾳声変化・リズム・イントネーションに慣れることができ、リスニング⼒が強化されます。また、⾃分でも発⾳してみることで、ネイティブにとって理解しやすい発⾳の会得、英語の総合⼒強化にもつながります。
注意点
使⽤する英⽂素材は、興味を持てるものを選んでください。⾃分の英語⼒より若⼲低めのものから始めることもポイントです。多読で使ったものを多聴で、多聴で使ったものを多読で使いましょう。
英語を英語のまま理解
「英語脳をつくる第2段階」
英語を⽇本語に変換して理解するのではなく、英語を英語のまま理解することを⽬指すトレーニング法を紹介します。上記で紹介した「英語の語順に順応」するためのトレーニングや「多読・多聴」が、英語を英語のまま理解できるようにする効果もあります。ここでは、その効果を更に促進するためのシャドーイングの⽅法を紹介します。
ボトムアップ・コンテンツ・シャドーイング
ボトムアップ・シャドーイングは、事前に英⽂を⾒ないで、いきなりシャドーイングする⽅法で、聞いて理解する⼒をより強化します。
コンテンツ・シャドーイングとは、英⽂の内容(意味)を理解しながら⾏うシャドーイングのことです。
※ 英語脳を作るために2つの事を同時に進めるという意識をもって行ってください。
方法
事前に英⽂を読まないでシャドーイングしましょう。意味に意識を集中し、内容を理解しながらシャドーイングすることが大切です。これ以上聞き取れないというところまで繰り返してください。その後、理解できなかったところを⾳読で確認しましょう。
効果
事前に英⽂を読まずにシャドーイングするため、より⼀⽣懸命に聞き取ろうとします。そのため聞いて理解する⼒をより強化できます。また、⽇本語に訳して理解する時間がないため、英語を英語のまま理解する⼒が強化できるでしょう。
注意点
やさしめの英⽂素材を使⽤してください。1回シャドーイングしてみて、最低でも80%以上理解できるものを使いましょう。
英語脳作りのためのトレーニング法
「具体的な英語脳づくりの方法を解説します」
「英語の語順に順応」「英語の⾳の会得」「英語を英語のまま理解」の3つを同時に強化できるトレーニング・フローを紹介します。なお、英⽂を前から理解することが難しく感じる⽅は、別途スラッシュ・リーディングを⾏なってください。多読・多聴は全ての⽅に別途⾏なって頂きたいと思います。
教材は慎重に選んでください。⾃分の学習レベルと⽬的に合っていない教材を使⽤すると期待する効果が得られません。また、単語と⽂の構造(⽂法)は、なるべく100%理解してトレーニングしましょう。
そうすれば、効率的に単語と⽂法の知識を⾃動化することができ、英語を英語のまま、英語の語順で理解できるようになります。
⾳源の発⾳をできるだけそっくりに真似たトレーニングも大切です。⺟⾳と⼦⾳、単語のアクセントの位置、リエゾン、リズム、イントネーションとスピードを意識しましょう。
リスニング⼒の向上を第⼀の⽬的とし、シャドーイングなどで、途中でついていけなくなったとしても、絶対に途中で諦めないようにして下さい。
必ず、途中からでも再開して最後までやりきることが大切です。
英語学習で最も重要なことは「繰り返し」で、⼈間の脳は記憶や⾃動化には繰り返しを要求します。シャドーイングもとにかく繰り返しやりましょう。
STEP.1 シャドーイング
事前に英⽂を読まないで、いきなりシャドーイングしましょう。最初は意味の理解に集中し、理解しながらできるようになったら、発⾳に集中しながら繰り返します。
ここで80%以上理解できなければ、英⽂素材をもっとやさしいものに変えて下さい。
STEP.2 アイシャドーイング
英⽂を⽬で追いながら⾳源を聴きます。
シャドーイングで聞き取れなかったところと、意味が理解できなかったところに注意して何度か繰り返しましょう。聞き取れない箇所がある場合は理由を⾃分で検証しましょう。
検証⽅法は後述する「自分の英語脳の弱点を⾒つける」を参照してください。
STEP.3 ⾳読
⾳読しながら、英⽂の内容を確認しましょう。聞き取れなかったところは何度か⾳読して、それでも理解できない場合は辞書や⽂法書で調べましょう。
英⽂はできる限り完璧に理解してください。理解しないままトレーニングすると英語脳作りへの効果は低くなってしまいます。
STEP.4 リピーティング
英⽂を⽬で追いながら⾳源を⼀⽂聴き、⼀旦⾳源を⽌めてリピートして下さい。
最初は意味を意識して、内容が頭にスーッと⼊ってくるようになるまで繰り返します。
その後、発⾳を意識して、⾳源をそっくりまねながらにリピートして、スピードはあまり意識する必要はありません。
STEP.5 オーバーラッピング
英⽂を⽬で追いながら⾳源を聴き、同時に⾳源にぴったりと合わせて声を出してついていってください。
スピードに注意しながら、最初は分の内容に意識を集中して何度か繰り返した後、次に発⾳に意識を集中して何度か繰り返しましょう。
うまくできない場合は、声を出さないリップ・シンク(⼝パク)を試してみるといいでしょう。
STEP.6 シャドーイング
仕上げのシャドーイングです。
意味を意識して繰り返し⾏った後、発⾳を意識して繰り返し練習して下さい。
意味が頭に⼊ってこない場合はオーバーラッピングに戻り、⾃⼒で⾳読して確認してもいいです。
発⾳がうまくできない場合は、リピーティングに戻って再確認してから再度トライしましょう。
自分の英語脳の弱点を⾒つける
「弱点を克服するために」
ここでは、あなたの英語脳の弱点を⾒つける⽅法を紹介します。
弱点強化で効率的に英語脳を作っていきましょう。
ディクテーションは、あなたの弱点を知る最善の⽅法です。
「単語・⽂法などの基礎⼒が⾜りないのか︖」それとも、「発⾳⼒、英語の語順対応⼒、英語を英語のまま理解する⼒が弱いのか︖」自分の弱点を知ってください。
方法:ディクテーション
ディクテーションとは、聴いた英⽂を書き起こすことです。
⼀⽂聴いたら⼀旦⾳源を⽌めて書き取りましょう。聞き取れない場合は何回か繰り返し聴いても問題ありません。
前もって英⽂は絶対に⾒ないことだけは必ず守って下さい。
聞き取れない理由の確認
聞き取れない理由を突き⽌めましょう。
それは英⽂を読んで理解できる場合と、理解できない場合の2つに分かれます。
英語が聞き取れない | 英文を読んでも 理解できない | 英単語・英文法 の知識不足 |
|
英文を読めば 理解できる | 音と音がつながって 単語が聞き取れい。 単語のアクセントを 間違って覚えていたなど | 英語の音に 慣れていない |
|
英文を戻り訳しながら 読解すれば理解できるが、 英文を前から理解できない | 英語の語順に 慣れていない |
||
スピードがゆっくりだと 理解できるが、速くなると 理解できない | 英語を英語のまま 理解できていない |
英語を英語のまま理解できる英語脳作りについて
「英語脳と⾃動化について」
⼈間の記憶は⼤きく分けて⻑期記憶と短期記憶の2つに分かれており、⾔語習得に深く関係する⻑期記憶は更に4つに分かれています。
その4つの記憶のうち、「意味記憶」は掛け算の九九などの頭に詰め込む(丸暗記の)記憶であり、「エピソード記憶」は理論や理屈による記憶です。
⼀⽅で「⼿続き記憶」は、普段なにげなく⾏っていることをするための記憶です。
例えば、⾃転⾞の乗り⽅や泳ぎ⽅の記憶、⺟国語で会話するための記憶などです。
単語や⽂法などの「エピソード記憶」(もしくは「意味記憶」)として脳に保管された情報(知識)を無意識的に使えるようにするには、それらを「⼿続き記憶」にする必要があります。
そのことを第⼆⾔語習得研究では「⾃動化」と呼び、脳科学研究では「⼿続き記憶化」と呼んでいます。
これが英語脳を作るということです。
ちなみに、「⼿続き記憶化」するには、脳は繰り返しを要求します。
英語を⾃由に使えるようになるには、とにかく繰り返すことが重要なのです。
記憶の種類 | 短期記憶 | 「プライミング記憶」 不完全なものから 完全なものを 予測する記憶 |
「手続き記憶」 無意識的に出来る ことの記憶 |
||
長期記憶 | 「意味記憶」 九九などの 丸暗記が得意な記憶 |
|
「エピソード記憶」 よく理解して理屈を 覚えることが得意な記憶 |
- 現役国立大学生のsky先生による執筆
- 国公立大学の理学部生物科学科に在学中のSky先生による執筆記事です。現在は英語の家庭教師をしつつ、ライターとして海外文化の情報を配信されており、保有資格はTOEIC スコア 930点取得、 TESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages) 英検準1級と現役大学生の中でも特に英語の造形に優れています。
この記事へのコメントはありません。