英会話が上達しない原因の1つ目は「完璧主義」になっているからかも。
別の言い方をするならば、できないところばかりを見て、持っている力を否定したり、ダメ出しをしてしまうことです。
その結果、自分は「英語ができない」「英語は話せない」などと、強く否定してしまい、英語に対してマイナス思考になってしまいます。このように指摘すると、「いや、できないのは事実ですから」などと強く否定してくる方が時々います。
その方が、できないと“思っている”のは事実ですが、「できない」ことは事実ではありません。なぜなら、英単語や英文法を全く知らないわけでは無いからです。
もしも、ロシア語やアラビア語、カンボジアで使用されるクメール語などのような、文字からして違う言語であれば、「できない」のは事実かもしれません。
しかし、英語であれば、中学や高校で授業を受けていますし、日本語の中にもカタカナとしてたくさん入り込んでいますから、英単語は結構知っています。中学・高校と基礎的な英文法を学んでいるので、文法知識もそこそこ持っているはずです。
つまり、事実を述べるのであれば「英語ができない」ではなく、「(中学英語に当たる)1,000個の英単語を知っている」と言う方がよっぽど正しいのです。
言語学的には、中学英語に相当する約1,000単語で、英語の日常会話の8割をカバーできることが明らかになっています。
しかし多くの方が、自分は「英語ができない」と思い込み、その原因を「英単語を知らない」「ボキャブラリーが足りない」からだと誤解しています。
その結果、改めて単語やフレーズを覚えようとして英語習得を挫折していくのです。なぜ英単語やフレーズを覚えるやり方がうまくいかないのでしょうか?
その答えは、既に持っている知識を活用していないからだと推測できます。既に知っている英単語をうまく活用することができない方が、新たに英単語を覚えたところで、それらをいきなり活用できるようになる道理はありません。
これを「知識肥満症」と呼んでいますが、知識を詰め込むばっかりで、頭でっかちになってしまい、上達はむしろ遠のいてしまいます。
まずは、既に自分が知っている英単語を活用できるようになることが最優先なのです。つまり、自分がどれだけ英語を知っているかに目を向け、その事実を肯定することが、英語上達の第一歩なのです。
圧倒的なアウトプット不足
次に、英語が上達しない方は、単語を覚えたり、文法を学んだり、英文をひたすらに読んだり、音声教材などを聞いたりする「インプット(入力)」に偏っているケースが少なくありません。
元々、義務教育での英語の授業が、インプットばかりに偏っていた……という方も多いでしょう。
大勢の方が、初めて英語をまともにしゃべった経験は、大学に入ってからと言う経験があると思います。中学校から高校生の6年間は、アウトプットといえば試験などの穴埋め問題程度しかありませんでした。
社会人になって、英語をやり直そうと思った時に、過去に教わった学習法を繰り返してしまうと、インプット偏重になりがちです。また、先ほど指摘した完璧主義のために、自分は「英語ができない」「単語を知らない」などと、できないところばかりを見てしまうことで、最初から覚え直さなければ……と考えてしまい、改めて英単語や英文法などのインプットをしようとする方も大勢います。
英語上達のために必要なのは、自分で実際に英語を話したり書いたりする「アウトプット(出力)」をすることです。
例えば1日に30分や1時間、英語学習の時間を設けるとしたら、そのうちアウトプットの時間はどれだけありますか?もし、「全くない」とか「5分」しかないのであれば、「アウトプットの量」が増えるように、ぜひ学習方法を見直すと良いでしょう。英語は道具ですから、実際に使用することで、“筋肉”を鍛え、経験値を積むことが英語上達の早道なのです。
また、問題集を買ってきて、問題を解いている、という方もいるでしょう。それも一種のアウトプットと言えなくもないですが、「アウトプットの質」に問題がある場合が多いですから要注意です。例えば、TOEICの過去問題を解く場合のアウトプットは、4択問題に答えることであり、自分で英文を作るわけではありません。また、穴埋めの英作文学習をしている方もいるかもしれません。
しかし、日本語に置き換えてみてください。日本語を話す時に、空欄を埋めようという意識は全くありませんよね。そうではなく、自分の思ったこと、言いたいことを、言葉に変換していく――という作業をしているはずです。英語も同じ言語ですから、全く同じことが言えます。自分の言いたいことや伝えたいことを、英語に変換する作業ができなければ英語は上達しません。
つまり、空欄を幾つ埋めようとするのではなく、全文を自力で言えるようにしなければ、英会話の練習にはなりません。
また、本や教材に載っている単語やフレーズ、英文を丸暗記している人も多いですが、自分の言いたいことを自分なりの英語でアウトプットする練習も、ぜひやった方がよいでしょう。
疑問を疑問のままにしている
英語をアウトプットし、実際に使用してみると、たくさんの疑問が湧き出てくるはずです。その時に疑問を一つひとつ、しっかりと解消していくことが上達を加速させるためには重要です。
なぜなら、「疑問が存在する」ことを裏返すと、「正しく理解できていないかもしれない」ことを意味するからです。正しく理解できていないとしたら、それは、「理解する階段」のどこかで躓いてしまっているということ。
疑問を疑問のまま放置してしまうと、そこに関してはいつまでも理解が進みません。その意味で、大きな視点で見ると、疑問というものは、彼方がうまく理解できていないことに気づかせてくれる為に出てきてくれた――とも言えるのではないでしょうか。
特に、インプットをしていて「理解した」と思えている事でも、実際にアウトプットしてみることで、よく理解できていなかったと気づけることも沢山あります。日本語でも例えば「挨拶(あいさつ)」という漢字が読めることで「理解できた」と思えるかもしれませんが、それを書こうとすることで初めて、細部がどうなっていたのかが見えてきたり、書き順が意識したりします。アウトプットをする事が、英語の理解を深め、疑問を浮かび上がらせる鍵となるのです。
なお、英語を暗記科目だと思っている人が多いですが、暗記もまた、その裏では「正しく理解できていない」ことを表します。もし英語をきちんと理解できていたならば、そもそも暗記は不要です。
また、暗記することがクセになってしまっていると、「英語はそういうもの」だと無意識に丸暗記してしまい、疑問を抱くことができなくなってしまいますからご注意ください。
まとめ
英語を勉強して豊かな人生に近づきましょう
英会話が上達しない大きな理由として、「完璧主義になっているから」「圧倒的なアウトプット不足」「疑問を疑問のままにしている」の3つがあるとお伝えしてきました。ですから、効率的な英語上達を得るためには、その逆をやればよいのです。
まずは、できることはきちんと認め、まずは自分が知っている英単語や文法知識に目を向けてください。次に、それらを使ってアウトプットをしてみましょう。言い換えるならば、既に知っている英単語や英文法の文法知識を活用して、英語をどんどん実際に使ってみましょう。いきなり英会話から始めるのは、ハードルが高いと感じる場合には、言いたいことや伝えたいことを英語で書くところから始めればよいのです。そして、英語を実際に活用してみると、様々な疑問が出てくることでしょう。英単語や英文法がうろ覚えだったことに気づくかもしれません。それらの疑問点や不明点を無視・放置すること無く、一つひとつをしっかり解消することを心がけてください。
疑問の解消は、独学ではなかなか難しいところもあるかもしれませんので、誰かに教われる環境があるとベストだと言えます。「アウトプット」と「疑問の解消」は、英会話上達の為の「両輪」のようなものです。アウトプットを繰り返す事により、英語を使う“筋肉”が次第に強化され、また、経験値を積む事ができます。
また、疑問を解消していく事により、英語のより正しい理解が深まり、正しく英語を活用できるようになり、つまり、より質の高いアウトプットができるようになっていくのです。ぜひ3つのポイントを意識しながら、楽しく英語をアウトプットしていただき、効率的な英会話上達を手に入れていただければと思います。
- TOEIC980点&英検1級の山先生による執筆
- 英語講師歴20年の山先生による執筆記事です。米国の大学院を卒業し、保有資格は「英検1級、TOEICスコア980、TOEFLスコア100」と英語に関して深い知識と活用事例をお持ちです。また、将棋好きが高じてアマチュア4段になったばかりのなんにでも本気で取り組む方です。
英語の基礎は自己紹介から!!
自分がどんな職業でどこの何者なのかを英語で自信を持って説明できないと、初対面の人との会話が気まずくなるだけでなく「何かあった時に不必要に怪しまれる」「トラブルに巻き込まれる」という危険があります。 自己紹介の英語は何十回と練習してマスターするべきです。
この記事へのコメントはありません。