外国人に茶道を伝えてみよう

外国人に茶道を伝えてみよう

茶道を英語で説明するにはどう表現するのか_

日本を訪れる外国人観光客の多くが関心を抱く茶道の世界。茶道に興味を示す方もいれば茶器の作り方に興味を示す方など、そのニーズは様々です。外国人と話す機会があるなら、英語で茶道を説明できるよう備えておくのも、日本の文化を伝えるために重要です。ここでは茶道に関連する基本的な英単語からその表現まで順次説明していきます。

茶道における空間や道具の名前を覚えよう
日本語英語補足
茶室
(ちゃしつ)
tea house茶道において客を招き、
お茶を出してもてなすための施設
水指・水差
(みずさし)
fresh water container茶釜に使う水や茶碗など洗う
水を蓄えておくための器
茶碗
(ちゃわん)
tea bowl茶道に使われる中心的茶器
建水
(けんすい)
waste water container茶碗をすすいだ
お湯や水を捨てる容器
茶杓
(ちゃしゃく)
tea scoop抹茶をすくう小さなさじ

(なつめ)
powdered tea container抹茶を入れておく容器
茶筅
(ちゃせん)
tea whisk茶碗の中で
混ぜるための道具
菓子
(かし)
confection主に和菓子
掛け軸
(かけじく)
hanging scroll壁に掛ける絵
床の間
(とこのま)
alcove掛け軸やお花を飾る場所
花入れ
(はないれ)
flower container vase季節の花を入れる器

(たたみ)
tatami mat井草を用いた日本伝統の床材
薄茶
(うすちゃ)
light powdered green tea少なめのお抹茶で
点てられたお茶
濃茶
(のうちゃ)
thinck powdered green tea薄茶の2倍程度の
お抹茶で点てられたお茶

茶道の特徴を説明してみよう

「シンプルに話すことを英語の目標にしよう」

英語力に自信を持っていても「茶道ってなに?」と聞かれて答えれる方は少ないでしょう。
茶道は、外国人が興味を持つ代表的な日本の文化です。
茶道に興味を持って来日しているのに何も答えれなければ、自分の国の文化を知らない人と見なされるかもしれませんね。
そのため、まずは茶道に関連する単語を知り、次に英文でどう表現していくか考えるといいでしょう。
例えば、茶道で使う茶碗は持ち手がないのが普通ですので、 Cup ではなく Tea bow と表現し、抹茶は粉状なため powdered greem tea などとします。こう見ると実は英語の方がシンプルなのかもしれませんね。
また、次の英文をのように茶道の説明ができれば、茶道の深い部分を伝えることができるでしょう。

The tea ceremony is the way to serve a bowl of tea to the guests.
客をお茶でもてなす場を茶会といいます。

The guests enter the tea house through a small entrance called the nijiri-guchi.
茶会の客は、躙り口という小さな入り口から茶室に入ります。

A decorative scroll hanging in the alcove is a sign of welcome.
床の間の掛け軸は、歓迎の意を表しています。

A sprig of cherry blossom is in a vase beside the scroll.
掛け軸のそばの花入れに桜の枝が飾られています。

From these seasonal decorations, the guests can feel and appreciate the thought that the host has put into them.
四季折々のしつらいに、客は亭主の思いを感じ取ります。

Confections are served before the tea.
茶の前に菓子が出されます。

The powdered green tea, matcha, is mixed with hot water.
抹茶と湯を混ぜて茶を点てます。

A bamboo tea whisk called chasen is used.
茶を点てるときには茶筅という竹製の泡だて器を使います。

A style of tea ceremony called wabicha was perfected by Sen-no-Rikyu, a tea master, in the late 16th century.
16世紀後半に茶人・千利休は「侘び茶」を確立しました。

茶道の概念を説明してみよう

「茶道が持つ概念を伝えるために」

茶道の概念を説明してみよう

「一期一会」って何?

What is ichigo-ichie?

Ichigo-ichie means “Treasure every encounter”. It is the primary teaching by Sen-no-Rikyu, the perfector of the tea ceremony. The idea is that each encounter you experience is a very precious, once-in-a-lifetime opportunity. Therefore, you should appreciate and make the most of every encounter, doing your best to show your heartfelt hospitality.
一期一会は「1回1回の出会いを大切に」という意味です。一期一会の精神は、茶道を大成させた千利休が重視していた教えです。人が経験する出会いの1つ1つは、たいへん貴重で一生に一度の出来事です。それ故、各出会いをじっくり味わい、最大限大切にして、心からのおもてなしをすることです。

treasure という英単語は、一般的には名詞で「宝石・富」を意味しますが、上記ケースですと動詞で「~を尊ぶ・~を大事にする」という意味で用いられています。
encounter は「出会い」という意味ですが、下線部における each encounter you experience には人との出会いだけでなく、すべての環境に対する出会いも含む意図があります。
Treasure every encounter. という表現は英語でも受け入れられやすく、茶道以外の場面において、すべての人間関係、周囲との寄り方に共通する教えとして、海外でも印象深く受け入れられます。
「一期一会」 は「おもてなし」にも通じる概念なため、上記内容をしっかり理解してください。

海外のアフタヌーンティーと日本の茶道はどう違う?

What is the difference between the afternoon tea in England and the tea ceremony in Japan?

Their social and cultural significances resemble in that both are based on the association between the host and the guests appreciated through cultured communication, proper manners, and interior decorations and furnishings. However, the tea ceremony is also regarded as a form of self-discipline and places a great emphasis on spirituality. In addition, there are different formalities depending on which school of tea ceremony is followed.
アフタヌーンティーと茶道の社会的・文化的意義は、文化的なコミュニケーション、礼儀作法、室内装飾や調度品などを通じて、主人と客人との結びつきを大切にする点で共通している。しかし、茶道は自己鍛錬の場とされ、精神性を重視する。また、茶道は流派によって作法が異なる。

上記では類似点を述べてから区別すべき相違点を対比させています。
下線部の文に出てくる self-discipline とは自己鍛錬を意味し、これは茶道以外の武道や華道などでも、日本の「道」という概念を説明するために非常に便利な表現です。
spirituality は茶道の精神性を意味し、これだけだと茶道を知らない方には説明不足になってしまいますが、先ほど紹介した「一期一会」や次に紹介する「詫び寂び」など具体例を出せば相手も理解しやすくなるでしょう。
また、流派は英語で school もしくは tradition と訳されることが多く、今回は school を用いていますが、follow(従う)という語を補って学校の意味にならないようにしています。

「侘び寂び」 とは何ですか?

What is wabi-sabi?

The concept of wabi-sabi is an important feature of beauty in Japanese thinking. Wabi refers to an aesthetic ideal created through deliberate simplicity in both art and life. The idea is that only by recognizing that nothing is perfect, can one fully recognize beauty in art and life. Sabi refers to an aesthetic ideal created through appreciation of the old and faded. It is similar to a patina in an English sense, which increases as things or people age.
侘び寂びという概念は、日本の思想における美の重要な特徴です。侘びとは、芸術と生活の両方において、意図的に簡素化することで生まれる美的理想を指します。完璧なものはないと認識することで、初めて芸術や生活の中の美を十分に認識することができるという考え方です。寂びは、とは、古いものや色あせたものを鑑賞することで生まれる美的理想を指します。英語の patina(趣き)に似ていて、物や人が古くなるにつれて増していくものです。

時折、日本文化は逆説の文化と言われることがあり、日本人は物事を白とも黒とも判断できる傾向があるというのが要因です。
日本では調和や共存の概念になるところが、海外では相反の概念として理解になることがあり、侘び寂びはその代表例だとも言えます。このような概念に対する説明は論理性が最も重要になります。
侘び寂びは、表裏一体のように説明されることも多いですが、あえて「詫び」と「寂び」をわけて説明し、相手に理解してもらいやすく、かつ両者は一つにまとまるような説明にしています。
侘びに関しては、観点を変えて

The idea is that when all the embellishments including wealth and vanity are removed, the intrinsic beauty is revealed.
富や虚栄心を含むすべての装飾が取り除かれたとき、本質的な美しさが現れるという考え方です。

としてもいいかもしれません。
寂びは、英語の patina(趣き)というニュアンスが近く、「寂び」の説明として使われているのを何度も見ています。ちなみに、patina は、道具を使い込んだ時に出てくる艶を指し、そこから風格や趣きなどを意味することもあります。

「おもてなし」って何?

What is “omotenashi”?

“Omotenashi” refers to the Japanese way of showing hospitality, where the host tries to entertain the guest using all possible means, while the guest leaves everything up to the host. It is a form of indirect communication, in which both the host and the guests work together on an equal footing, showing courtesy to each other. The idea is well reflected in the spirit of the tea ceremony.
「おもてなし」とは、ホスト側があらゆる手段を使ってゲストをもてなそうとし、ゲストはホスト側にすべてを委ねるという日本的なおもてなしのことです。ホストとゲストが対等な立場で、互いに礼を尽くす間接的なコミュニケーションの一形態となります。この考え方は、茶道の精神にもよく反映されているのです。

現在では、東京2020 夏季オリンピックの開催地を決めるプレゼンテーションにて滝川クリステルさんが Omotenashi というワードを使ったため、一定の理解はされるでしょう。
しかし、時間による風化もあり、「Omotenashi =日本の礼儀接客みたいなもの」という向きもあり、茶道における「おもてなし」に対しては正しく理解されていません。
また、おもてなしは hospitality とも訳されることが多いのですが、これは少しニュアンスが異なります。hospitality は客の希望を叶えることなのですが、おもてなしでは客は主人に何も求ず、主人に一切を委ねます。
この時に、主人は客が思う満足を提供できるよう手配をし、客はその主人の所作や気配りの細部を感じ取り、感謝の気持ちを表します。
つまり「おもてなし」とは、客と主人の間の無言によって築かれる信頼関係といえるでしょう。
これは日本文化のいろんな分野で見られ、西洋のサービスが hospitality に基づくとすれば、日本のサービスは Omotenashi に基づくと言っても良いように思います。
また、日本人が外国人に食事の誘いを受け、食べたいものを問われた時に「お任せします」と答えて困らせる傾向をよくみます。
これも、hospitality と Omotenashi の概念の違いから来ていると考えれます。

Shizu-treat 先生による執筆
現在貿易業務に携わりつつ、英語関連の執筆業務を行っている「Shizu-treat 先生」です。アジアや欧米の国々向けの産業用機器や原材料の輸出をメインに取り扱っている会社で英語を使用した実務を行っています。英語の資格としては、TOEIC 870点・英検準1級・貿易実務検定を取得し、留学経験はないものの、独学で300点代からスコアアップされた経験を活かした仕事をしています。また、現在も英語の勉強は趣味と豪語されており、TOEIC900点以上と英検1級取得を目標に、英会話のレベルアップにも励んでいます。
英語の先生

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