「英語 / 英文法 vs 英会話」の構図は正しいのか?
「英語も英文法も英会話も同じ語学学習の一単元」
日本における英語教育を通して、もしくは英会話スクールに通うなどして英語が上達してたり、満足のいく水準にまで達した人たちはおそらく「英会話」というものは存在しないということを知っていると思います。
間違った解釈を省くための補足として、学校教育で定められている科目には「国語」「数学」「社会」「理科」「英語」などがありますが、さらに「英会話」というように、「英語」とは別物と考えるのはおかしなことです。
これらのように「英文法 vs 英会話」や「英語 vs 英会話」を信じている人たちは、「英語」を勉強をしても、実用的に英語を使いこなしたり、効果的に英語をマスターできるようにならないと信じています。
つまり、「英文法 vs 英会話」や「英語 vs 英会話」を信じている人たちは、ネイティブと英語で会話をするためには「英会話」を勉強しなければならないと信じているのです。
英語は英会話であり、英会話は英語である
「少ない成功例を拡大解釈しているのではないか?」
もちろんこのような考えの中で満足いくレベルの英語力を身に着けた人はいるでしょう。ですが、残りの大半は、多くの時間と多くのお金をかけて、最高な「英会話」を探し求めるものの、満足の行く英語力を身に着けることなく、英語学習から退場してしまいます。
結局のところ、「英会話」ばかりを追い求めても、役に立つレベルまで英語力を伸ばすことはできないのです。
一方で、これらとは逆のタイプの人たちが存在します。これら人は、「英会話」と呼ばれるものは存在しないと気づき、多くの時間をかけて、着実に英語力を伸ばしていきます。
英語熟練者は言い訳をしない
「努力と呼べる努力を継続した結果、英語熟練者となる」
着実に英語力を伸ばしていくタイプの人たちは、英語の教科書や参考書の内容を家で音読したり、覚えたての英文法や英単語のコロケーションを辞書でダブルチェックしたり、その他にも、アウトプットを重視した勉強を行い、一度身につけたことに、さらに上乗せして自分なりの応用学習を行っています。
現在、満足の行く英語力を身に付けている人、さらには未来の英語熟練者たちは、「英会話をしてないから、英会話ができない」などの言い訳はしません。
「英語≒英会話」を学ぶという実例
「曖昧な表現を覚えてネイティブに伝えてみよう」
上記のようなことを、いくらもっともらしい言葉を並べても、その信頼性はどれぐらいかは人の受け取り方によってまちまちですね。ここでは、これまで紹介してきた内容の実例として「曖昧な表現」の英語学習を基にお話ししたいと思います。
「曖昧な表現」ができるようになると、私たちが学習してきた英語をさらに自然な英語にすることができます。これには二つの理由があります。
● 曖昧な表現をすることは、日常会話のなかでとても自然なこと
● 外国語学習者はその言語の意味を網羅しているわけでないので、時には曖昧な表現の方が伝わりやすい
まず一つ目の理由から見ていきましょう。
例えば、「何となく」「だいたい」「~のような」「~っぽい」「~的な…」など、日常的に日本語で、このような表現をする方は大変多いです。これは知識不足から曖昧な表現しかできないのか、もしくはわざと曖昧に表現することにより相手に伝えやすく工夫しているのか理由は様々ですが、物事を伝えるために有効な話法の一つです。
しかし、学校教育のような明確に伝えることを目標にする言語学習ではこれらのことを重要な単元として教えてはもらえません。もちろん、学習過程で勉強をするにはしますが、これらの曖昧な表現の重要性をしっかり伝えきれていないところがあります。
では具体例を見ていきましょう。多くの学生は、
The car is red.
この車は赤色です。
という表現を理解できるはずです。では次はどうでしょうか?
The color was somewhere between red and pink.
その色は赤とピンクの中間のような色合いだった。
まずこの中で習わない単語はないですし、特別難しい文法もありません。
2つ目の理由ですが、外国語学習者はその言語の意味を網羅しているわけでないので、その人が話す内容は完璧でなくて当たり前の場合があります。そのため、時には曖昧な表現の方が伝わりやすいことがあります。
次に、曖昧な表現から、本当は何を言いたいのかを見ていきましょう。
This is stairs that are sort of like a corkscrew.
コルク栓抜きのような階段です。→ 螺旋階段
It’s maybe a kind of snail, but has no shell.
カタツムリの一種だけど、殻がない。 → ナメクジ
It tastes kind of like chicken.
鶏肉のような味がする → かえるの肉の味
これらの英文も、習わない単語は入っていないですし、特別難しい文法もありません。実際に「sort of like(いわば~のようなものだ)」「be kind of(~のような)」「kind of like(~のような感じ)」などは全て学校で習います。
このように、学校教育内で学習してきたことで十分に英会話としての機能を果たすことができるのです。これらのような曖昧な表現など日常会話でよく使うような言葉遣いを身につける英語学習者は、海外で生活するなどしてそうなったか、あるいは、特別な努力や勉強方法を工夫して、もとある学習過程から発展させて身につけているのです。
まとめ
「学校教育における英語はやっぱり重要だ」
私も長期間英語を教える立場にありましたが、着実に英語力を伸ばしていくタイプの人たちから、「英文法、リーディング、ライティングが得意だけど、英会話はからっきし」いう声は、未だに聞いたことがありません。つまり、英語を勉強した年数や深さに相当するレベルで、ネイティブとコミュニケーションできないというのは、ほとんどありえないことなのです。
当然、英語に限らず会話が苦手な人などの個性的な差はありますが、「英文法を熟知している」「英語を熟知している」というような人たちが、「英会話は苦手」だとという人はとても少ないのです。
英語学習は、現在の学校教育内のやり方でも「英文法を熟知している=英語を熟知している=英会話ができる」という状況にすることができ、これが正常な状態だと思います。
- 幼児~小学生を対象とする英語塾教師Kufufu先生による執筆
- 某超大手金融機関に5年務め、英語教育に転身された英語塾教師Kufufu先生による執筆です。英語の発音や和製英語、英語のオノマトペについて深い知識があり、卒業論文では「日本人の英語発音」について8000語ほどの英語で論文を執筆されました。
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