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大学受験の英語が「超難化」している理由は?
センター試験⇒共通テストの難化の流れを知ろう
大学受験が「超難化」しているという点。受験英語の難易度の変化は年々少なからずありますが、その年によっては平均点が上がるということもあります。
しかし、いくつかの理由をもって、その難易度は確かに昔と比べて難しくなってきています。その大きな理由として存在するのが、センター試験から共通テストになったこととそれに伴うテスト形式の変更、そして学ぶべき単語数の増加です。
では、それぞれの変更点とどのように難易度が上がっているのか見ていきましょう。
センター試験と共通テストの違い
今まで学校教育でおろそかだったリスニングの配点が大きく上がった!
大学入試センター試験は約30年にわたって実施されてきました。
しかしながら、そのセンター試験が廃止され、2021年1月より新しいテスト「大学入学共通テスト」へと変更がされています。この変更に伴う大きな違いはなんでしょうか?
従来の試験では、文法の正誤を問う問題など「受験英語」と呼ばれるものが中心でしたが、共通テストでは、より実用的な英語力を問う試験形式となり、コミュニケーション英語や情報処理能力、問題を正確に読み取る能力などが問われるようになりました。
また、センター試験では、リーディングの配点がリスニングの4倍でしたが、共通テストでは1:1の割合になっています。
これらの違いをみるだけでも、大きな変化がある大学受験英語ですが、さらに具体的な変更点などみていきましょう。
必要単語量1800語→2500語に
必修英単語数が1.4倍に!
高校生のうちに学ぶべき英単語量が決められているのをご存じでしょうか?
実は、文部科学省によってそれぞれ小学校、中学校、高校で学ぶべき英単語の数が決められており、そのカリキュラムによって学習カリキュラムが組まれています。そんな英語の学習カリキュラムは数年に1度改訂されており、学ぶべき英単語の数も増えているのが現状です。
ゆとり教育が始まった2002年時点では、高校生が学ぶべき英単語数は約1800語といわれていました。中学校で学ぶべき英単語数はその後、増えることもありましたが、高校で学ぶ英単語は1800語のまま長い年月が経ちました。
しかし、2022年度からは、1800語から2500語へと覚えるべき英単語の数が改訂され、英語での情報理解力の向上や自らの意見をより積極的に発信できるようになることが求められ、これを目的として学校教育が実施されました。その500語という単語数は受験英語の難易度にも関わってきています。
リスニングテストの変更点
英語の耳を作るには時間がかかるため、早くからの対策が必須!
センター試験と共通テストの大きな違いは説明しましたが、リスニングテストの内容にも大きな変化を与えました。
まず、前述したように、従来はリスニングテストの点数配分はリーディングテストと比べて4分の1しかありませんでしたが、その配点が1:1となったため、リスニングテストの問題数が増えています。
そして、センター試験では2回読み上げられる問題がほとんどでしたが、共通テストでは読み上げが1回のみの問題もあります。そのため、1回で正確に聴き取る能力を求められることになります。
さらに、読み上げられる音声に関しても変化があります。以前はアメリカ英語での読み上げが主でしたが、共通テストに変わってからは、読み手の英語がアメリカ英語やイギリス英語、その他の国の話者による英語とよりアクセントが多用になっています。これは、より多様な国籍の英語を聴き取る練習や自然な英会話の理解をすることが必要になることを指します。
以上のように、従来と比べてもより多くのリスニング練習、特に正確に1度で聴き取るトレーニングや様々な国の英語を聞く練習が必要となるでしょう。
リーディングの変更点
試験のための英語から、実用英語のための試験に変わりつつある!
リーディングの配点は、センター試験の頃から変わっていませんが、試験内容には多くの変更があります。
まず、学校で覚えるべき単語数が変更になったことで、より多くの単語が出題される可能性があるでしょう。実際に、センター試験では毎年約4500語が含まれていたようですが、2021年の共通テストでは5495語でした。
そして、その単語数とともに増えたのが読解の問題数です。共通テストに変わってからアクセントや文法問題がなくなったため、読解問題がメインの試験へと変化しました。アクセントや文法問題が得意だった人は、読解問題の増加に頭を悩ましているかもれませんが、読解問題から読み解くことが得意な方はより得点しやすくなったかもしれませんね。
また、読解といってもその問題に使われる内容も変わっています。共通テストに変更になる前は、説明や解説といった堅い文章が多くありました。
しかし、共通テストではより実用的な英語力を測るために、メールや広告、会話、図表、イラストなど様々な日常から切り取られる場面を用いて設問が作られています。そのため、そういったカジュアルな場面で使われる英語の文章を読む練習も必要となるでしょう。
必要な情報を読み取る能力が問われるため、問題の形式に慣れるまでは時間がかかるかもしれませんが、人によっては従来の試験よりも簡単に思う方もいるかもしれませんね。
大学受験英語で対策すべき点は?
大学受験までに必ずすべき必須対策TOP3!
最後に、難しくなっているとも言われている大学受験英語の対策ポイントをいくつか紹介します。
単語の暗記
大学受験英語を成功させるためには、英単語力をあげることは必須でしょう。先に紹介したように、高校で覚えるべき英単語の量は増えています。
しかし、増えているからといって、全ての単語を完璧にする必要がないとも言われています。ここで重要なのが、基本的な単語から完璧にしていくということです。
まずは、単語帳などを利用して、大学受験に必要な重要単語の暗記から始めていきましょう。その一冊に収録されている単語をある程度覚えたところからは、読解問題を解きながらわからない単語を調べるといった方法が最適です。
単語帳を使った暗記方法も受験英語には非常に有効ですが、実用的な英語力が求められる現在の試験では、文章内で瞬時に単語の意味を読み取る必要があります。
英単語をマスターするにはかなりの時間が必要であるため、試験に向けて計画的に覚えていくようにしましょう。
長文読解トレーニング
大学受験英語では、読解力が大きなポイントとなります。
共通テストでは、バラエティーに富んだコンテンツから問題が出題されます。点数を落としてしまう要因として多いのが、1つの長文を解くことに時間を費やしすぎるために他の問題に使う時間が減ってしまうことです。
長文読解には時間を要しますが、その時間を短縮するためには、同じような英語の文章を読む練習が効果的です。
もちろん、英語のメールや広告をひたすら読むことで同類の問題は解けるようになるはずですが、苦手なタイプの長文読解にもチャレンジしてみましょう。様々な長文に触れておくことで、本番にどのような長文問題が出てきたとしても、正確に必要な情報を得ることができるようになります。
ただし、1つ気をつけたいのが「基礎は先に勉強しておくこと」です。具体的には、「基本単語」「基本文法」のことをここでは指します。基本単語や基本文法が理解できていない段階で長文読解にトライすることもできますが、やはり躓いてしまうことが多く、なかなか読解練習にはならないと思います。
そのため、まずは基本的な単語と文法を覚えてから、読解問題に進むことをおススメします。
リスニング力の強化
共通テストでは、リスニングテストの配点が増えたことを説明しました。
それは、リスニング力が以前よりも大学受験に必要となったともいえるでしょう。リスニング力を強化することが必要になりましたが、ここでは「シャドーイング」という勉強法をおススメします。
シャドーイングとは、流れてくる音声に”影のように”ついて発声するというトレーニング法で、シャドーイングを行うことによって、英語の発音や英語独特のイントネーションなどにも慣れることができ、リスニング力のアップにも繋がります。
シャドーイングに使う音声はインターネット上のものでもよいですが、もし試験の過去問や参考書などがあれば、それに付属している音声を利用すると良いでしょう。
どんな科目もそうですが、英語学習もすぐに効果が現れるものではありませんので、長期的に日々行うようにしていきましょう。
また、日々の生活の中で英語を聞く機会を増やすということも、リスニング力をアップさせるためには大切です。通学や空いている時間に英語の会話音声を聴くなど、英語の音に触れる機会を増やしてみましょう。
最後に
これまで以上に勉強する時間配分を英語に割り当てて効率的に学習することが必要に!
こちらの記事では、大学受験の英語が「超難化」しているということについてまとめました。英語の重要性は年々増してきており、それに伴って大学受験で求められる英語力も高くなってきています。英語で大学受験に躓いてしまわない、英語を得意科目にできるようにこちらの記事が参考になれば幸いです。
- TOEIC980点&英検1級の山先生による執筆
- 英語講師歴20年の山先生による執筆記事です。米国の大学院を卒業し、保有資格は「英検1級、TOEICスコア980、TOEFLスコア100」と英語に関して深い知識と活用事例をお持ちです。また、将棋好きが高じてアマチュア4段になったばかりのなんにでも本気で取り組む方です。
誰もが失敗は当たり前!英語学習の軌道修正は堂々と!!
今までの英語学習の取り組み方が良くなかった場合、それを変えるのが合理的な判断ですが、 「これまでに費やした時間や労力が無駄だった」 と認めることは、心地いいことではないので、人はそういった現実から目を背ける傾向があります。
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