英文法:冠詞に関する Q&A
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英文法:冠詞に関する Q&A

冠詞とは?_

英文法の勉強の中で以外に厄介なのは冠詞です。冠詞の勉強には可算名詞と不可算名詞の区別も同時に行わないといけませんし、実際には、「luggage(手荷物)」のように数えられそうなのに不可算名詞だったり、数えられそうもない「shower(にわか雨)」が可算名詞だったりするので非常にややこしいです。冠詞の「a, an」と「the」の区別にしても、相手が知らないことを述べる場合が「a, an」で、相手とすでに共有している情報内での会話の場合は「the」を付けると習った方も多いでしょうが、それだけでは説明不足だと知っている方が多いですね。このような冠詞の使い方について、大部分の英語学習者は後回しにしてきた方が大半でしょう。しかし、このたった数文字の間違えでネイティブには変な英語に聞こえてしまう場合が多々あります。
ここでは、そんな冠詞に関して寄せられた疑問に対して、解答した内容をQ&A集としてみなさんと共有していくページです。

Q&A

中2です。
冠詞の使い方が苦手です。よく間違えるような気を付けた方が良い使い方を教えてもらえますか?

A :
coffee(コーヒー)は1つの具体的な形の無い名詞ですので、文法的には a cup of coffee(コーヒーを一杯)ですが、口語では a coffee を使うことが多いです。それは。1杯のコーヒーという具体的な形をイメージできるからです。

B :
go to school(学校に行く)go to bed(寝る)など目的を表す場合には a がつきません。この場合の school や bed は 具体的な形のあるものを意味しているわけではなく、目的を意味しているからです。
尚、school も bed も具体的な形のあるものを意味する場合には a がつきます。

C :
by bus(バスで)など手段を表す場合も同様に a がつきません。具体的な形をイメージしているわけではなく、手段を意味しているからです。

D :
catch a cold(風邪をひく)には a がつきます。1 回の具体的な期間をイメージしているからです。

the の使い方を教えて下さい。

the は、おおまかに4つの使い方があります。

1.文法用語:前方照応(anaphoric reference)
前に出てきたモノ・コトを指すthe で基本となります。

I have a book in my bag. I bought the book yesterday.
カバンの中に本が入っています。昨日、その本を買いました。

上記例文の the が(1)に該当します。

2.文法用語:後方照応(cataphoric reference)
後ろにある表現から限定される the がこれにあたります。具体的には

the door of my room
私の部屋のドア

が後方照応に該当し、上記例文の door は、of my room から限定されるため the を付けます。
ここでの「限定」は、私の部屋のドアは1つで、相手もわかっている状況もしくはすぐに想像できるシチュエーションのことです。

3.文法用語:場面状況照応(situational reference)
状況によって限定される the のことを指します。

Where is the station?
駅はどこですか?

上記例文の the は、話の流れの中で話し手と聞き手が「どの駅について語っているかをすでに共有している」ため付ける the になります。

4.1つしか元々無いもの
後ろの名詞が

the sun / the world / the sky
太陽 / 世界 / 空

の場合には、通常 the を付けます。これらの単語は、1つしかもともとなく、1つしかないものには、the を付けるのがルームです。

冠詞ってそんなに重要でしょうか?
今集中して勉強していますが、実が入らないというか、何かアドバイスいただけますか?

冠詞はものすごく重要です。
冠詞が重要だと認識していない方は非常に多く、その理由の一端として「冠詞は名詞の付属品」という扱いをしている方が多い事、そしてそのように習うのが原因だと思われます。
もちろん、全てが間違えだとは言いませんし、私も同様の説明をすることがあります。
ですが、冠詞は名詞の脇役ではなく、名詞の本来の意味を指し示す道しるべでもあります。
例えば、「the + 形容詞」という使い方がありますが、the には後ろに続く形容詞を名詞の意味にする役割があり、「~な人」「~なこと」と訳します。具体的には、

the young : 若い者たち = 若者層
the rich : 裕福な者たち = 富裕層
the unexpected : 予想しないこと、予期せぬこと

などがあります。a にはこのような働きはなく、同様の変化をする用法が多々あります。つまり、冠詞は名詞の脇役・付属品として学習するのではなく、名詞をどの意味に置くのかを表す重要な文法となるのです。

ネットで英会話を勉強していて先生の友達を紹介されました。
そういう勉強だったのでいいのですが、その友達を「a friend of mine」と言っていました。
この場合「my friend」でもいいのになんでそんな言い方をしたのでしょうか?
聞きそびれてしまったので、こちらで聞いてみたく思いました。

確かに「my friend」と言えば簡潔で分かりやすい中「a friend of mine」と遠回りのような言い方をするんだろうって疑問に思われるかもしれませんが、この2つには以下のニュアンスの違いがあります。

my friend
– 唯一の友達
※ 友達が一人しかいないようなニュアンス

a friend of mine
– 何人かいる友達の中の一人
※ 友達は何人かいるという後ろの意味がある

ただし、my best friend や my friend Yuki のように使う場合もあります。
これらを上記説明に照らし合わせると、
my best friend
– 親友:親友は何人もいると想定してないのでこの言い方で問題なし
my friend Yuki
– 私の友達のユキ:my friend = Yuki のように同格の用法で、対象のユキは1人なので問題なし
文法的に解釈すると上記のようになります。

Hey mom! A friend of mine gave me a present.
ねぇママ!友達がプレゼントくれたよ。

「This is a pen.(これは1本のペンです)」は実際にネイティブは使いますか?

日常会話において「This is a pen.」という人は聞いたことがないです。
また、訳に「これは1本のペンです」というのも実は間違えですので、その点も含め解答させて頂きます。
まず、This is ~. というフレーズは「相手が~を知らない」というシチュエーションで使われます。
現代社会において、ペンを知らない人はほとんどいないと考えて差し支えないので、このフレーズを使う人はほぼいないでしょう。
ただし、何かのお土産とかでよくあるペンなのか、ペン状の置物・飾りなのか分からない場合には使えます。
また、「これは1本のペンです」という文法解釈は間違っており、正しくは
– これは(いくつかあるうちの一つの)ペンです
という意味になります。

「a, an」は「一つの」という意味ではなく、「いくつかあるうちの一つ」という意味であると再確認してください。
つまり、一見してペンだと分からないお土産を指して、
– This is a pen.
「(共通認識としていろんなペンがあるけど)これは(いくつかあるうちの)ペン(の1つ)です。」
と言うのが正しい認識になります。

言葉遊びのように見えるかもしれませんが文法的解釈としては上記のように一度認識しておくと、今後冠詞を勉強していく中で正しい理解ができるはずです。

This is a pen.
これはペンです。

自己紹介文の勉強をしています。
She is the student at Nara Prefectural ABC High School.
と書いたらダメと言われました。なぜでしょうか?

この場合ですと、「彼女は奈良県立ABC高校の(唯一の)学生です」という訳になってしまいます。もちろんそんなわけないので、伝わるには伝わるともいますが。
要は、the を a に置き換えると正しい英文になります。

She is a student at Nara Prefectural ABC High School.
彼女は奈良県立ABC高校の学生です。

逆に the にしないといけない場合は、次のような場合があります。

Tokyo is the place where I was born.
東京は私が生まれたところです。

産まれたところは一つですので、「the place」が正解です。仮に a にしてしまうと、生まれたところはいくつかあるみたいなニュアンスが出てしまいます。
とは言いつつ曖昧な場合もあります。

Sugamo is the place which is very popular among older people. △
Sugamo is a place which is very popular among older people. 〇

上記の訳は「巣鴨は、年配の方にとても人気のある場所です。」ですが、年配の方に人気の街を他にも知っていれば a になるでしょうし、日本中探しても年配の方に人気の場所が他にもなさそうであれば the と表現してもいいです。とりわけ、年配の方に人気の場所は「日光、有馬、箱根」などたくさんありますし、a の方が良いと言えるでしょう。
最後に冠詞の使い分けの原則を紹介します。

a / an(不定冠詞)・他にも同種のもの・ことがある
・相手にとって未知の情報
the(定冠詞)・世間一般的に一つしかないもの
・お互いに共通認識としてあるもの

冠詞が付かない場合がありますが、どういう時ですか?

名詞を無冠詞で用いるには大きく分けて以下の2つのルールがあり、簡潔に言うと単数とはいえない不特定なものです。

1.話し手と聞き手の間に、共通認識がない
2.不可算名詞として総称を指す場合
3.固有名詞の場合
4.動的なニュアンスを含む名詞

She ate apples.
彼女はリンゴを食べた[1]

I love coffee.
私はコーヒーが大好きです[2]

I am going to climb Mt. Fuji next month!
私は来月は富士山に登るつもりです[3]

「動的なニュアンスを含む名詞」に関しては分からない方も多いかと思いますので、詳細を解説します。
以下英文のように、普通は冠詞を使う場面でも、その名詞に動きのニュアンスが含まれる場合、不定冠詞 a/an を使わない場合があります。動的な意味を帯びた名詞には、不定冠詞 a/an を使うような単数性が意識されないためと考えられます。

She goes to school.
彼女は学校に行きます

この英文は、生徒として通学するというニュアンスを表しています。
そのため、school の単数性が感じられなくなり、不定冠詞がつきません。
逆に、学校のルート営業を行っており、とある学校に営業のために向かう場合であれば、go to the school という言い方が適切です。
同様に、以下英文では、「入院」という動的なニュアンスがあり無冠詞となっています。

He was in hospital.
彼女は入院していました

He was in the hospital.(彼は特定の病院の中にいます)では、theが付くことによって、何の病院か特定でき、その建物の中にいるという意味になってしまいます。

a pen, the pen, pens, the pens は、どのような違いがありますか?

a pen : とある一本のペン
the pen : 話し手と聞き手が共通認識している特定のペン
pens : とある複数のペン
the pens : 話し手と聞き手が共通認識している特定の複数あるペン
という意味があります。

I need a pen.
ペンが欲しい

I need the pen.
そのペンが欲しい

I need some pens.
いくつかペンが欲しい

I need the pens.
それらのペンが欲しい

She has a car, bike and motorcycle.
She has a car, a bike and a motorcycle.
ってどっちが正しいの?

両方とも正しいです。
但し、どちらかに統一する必要はりますので、以下のようにはしないほうがいいでしょう。
✕ She has a car, bike and a motorcycle.
✕ She has a car, a bike and motorcycle.

冠詞の a, an, the の使い分けが難しいです。

冠詞は日本語にはない概念なので最初は躓きやすいポイントですね。
簡単に覚えようと思ったら次のように覚えて下さい。
みんなで「せーの」で指さして 全員同じものを指せたら the で、 指せなかったら a, an です。

冠詞 a/an の使い分けを教えて下さい。

a/an は、不定冠詞と呼ばれ、その語源は one の語源と同じです。
不定冠詞に続く単語が母音で始まる場合は「 an 」を用い、子音で始まる場合は「 a 」を用います。

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